アメリカ・コロラド州立大学での外科研修を経て、この春、当院に復職された東 一志先生。腹腔鏡手術を中心とした高度な外科技術を学び、日本の現場に持ち帰ってきました。
これまでの歩みと現在の想い、そしてこれからの目標について伺いました。
─ コロラド州立大学での研修を終え、帰国・復職された今のお気持ちはいかがですか?
レジデントとマスターを終えて戻ってきましたが、多くのことを学べた一方で、学べば学ほど新たに分からないことも増えていると感じています。
だからこそ、帰国後も学び続ける姿勢を大切にしながら、日々の診療に取り組んでいきたいと思っています。
─ 2017年から2020年にも当院で勤務されていましたが、改めて戻ってこられた理由は?
当時は外科の立ち上げに関わらせていただき、何もわからないところから丁寧にご指導いただきました。システムがまだ十分に整っていない中で、ひとつひとつ形にしていく大変さはありましたが、その分、学びながら成長していく実感があり、とても充実した時間でした。
また、専門ごとに役割が分かれていて、それぞれの分野に専門の先生がいる環境は、自分の分野に集中できるという意味でも非常に魅力的でした。
アメリカでも同様の環境で働く中で、そのような体制の方が、自分が学んできたことを最大限発揮できると感じ、もう一度この病院で働きたいと思いました。
─ 内科インターンなどを経て外科に進まれた理由を教えてください。

もともと内科の知識はどの診療科においても大切だと考え、大学で内科の研修医として学びました。その後、開業も視野に入れながら、当院で外科のトレーニングを受ける中で、手術後に患者さんが劇的に良くなる姿を見ることに何度も感動しました。また、練習を重ねることで少しずつできることが増えていくのも楽しく、外科の分野で専門的に取り組んでいきたいと思い、この道を選びました。
─ コロラド州立大学では腹腔鏡手術を中心に研究されたとのことですが、どのような経験でしたか?
渡米するまでは、腹腔鏡手術をはじめとした低侵襲外科の経験は多くありませんでした。しかし、私が小動物外科レジデンシーを行なっていたコロラド州立大学では低侵襲外科が盛んで、実際に多くの症例を見る機会がありました。その中で、患者さんの痛みが少なく、回復が早いということを実感し、とても魅力的な方法だと感じるようになりました。
コロラドでのメンターが低侵襲外科を専門としていたこともあり、低侵襲外科に関する研究をしたいと相談し、いくつか研究を指導していただきました。
日本では小さな患者さんも多く、コロラドで学んだことをそのまま応用することは難しい場面もあると思います。それでも、患者さんにとってメリットは非常に大きいと感じているため、今後は低侵襲手術の普及にも貢献できるように努力していきたいと思っています。
─ アメリカの医療現場で印象的だったことはありますか?
印象に残っていることはたくさんありますが、特に教育システムが非常に整っていることが印象的でした。
指導医、レジデント、インターン、学生と段階的に役割が分かれており、それぞれが教える立場にもなることで、効率よく成長できる仕組みになっていました。また、ACVS(米国獣医外科学会)のレジデンシープログラムは長い歴史の中で磨かれており、3年間の研修と通して一定のレベルの知識と技術を身につけられるよう設計されている点も印象的でした。
アメリカでは生涯教育が非常に重視されており、教えること、教わることが日常的に行われています。そうした文化の中で過ごせたことは、自分にとって大きな成長につながったと感じています。
一方で、語学の面では大きな苦労もありました。
渡米一年目から動物病院で行われるレジデントラウンドに参加していましたが、英語を聞き取って理解し、それに対する答えを考えて話す、という一連の流れが全くできず、絶望したこともありました。
それでも、拙い英語で話す私に対しても、ファカルティーの先生方が粘り強く丁寧に指導してくださり、レジデンシーを終える頃には、なんとか受け答えができるようになっていました。その寛容さと教育熱心な姿勢には、今でも深く感銘を受けています。
─ コロラドでの生活や、休日の過ごし方はいかがでしたか。
コロラドは自然が多くて、アウトドアが盛んな場所です。
もともと自然豊かな場所で過ごすことが好きなので、休日は家族とキャンプに行ったり、ハイキングをしたりすることが多かったです。


─ 日々の診療で大切にしていることを教えてください。
外科の情報や技術は日々進歩しているので、常にしっかりとアップデートを行い、患者さんにとって最善の方法を提供できるよう心がけています。
─ チーム医療についてはどのように感じていますか?
一人でできることには限界があるので、チームで連携していくことは非常に重要だと思っています。
それぞれの専門性を活かしながら診療できることは、この病院の大きな強みだと感じています。
─ 最後に、スタッフのみなさんへメッセージをお願いします。
動物と暮らすことが人の健康や幸福につながることが、科学的にもわかってきています。その中で、動物病院の仕事はとても大切な役割を担っていると感じています。
そんな仕事を、志の高い皆さんと一緒にできることをとても嬉しく思っています。これからもチームで楽しく、前向きに学びながら成長していけたらと思いますので、どうぞよろしくお願いします。


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