われらの科の自慢!医療機器紹介 vol.1 放射線科のVarian Edge(エッジ) 

今回から、各科で所有している医療機器にクローズアップし、その魅力やこだわりをご紹介していきます。

同じ院内にいても、実際に日々扱っているからこそ見えている工夫や特徴は、意外と知られていないもの。
そんな“現場ならでは”の視点を持ち寄り、院内で共有していけたら──そんな想いから、この企画がスタートしました。

記念すべき第1回は、放射線科の「Varian Edge(ヴァリアン・エッジ)」。
放射線技師長の渡邊暁さんにお話を伺いました。

がんを「逃がさない」次世代機、Varian Edge(エッジ)の凄さ

「放射線治療は今、“切らずに治す”からさらに進んで、“ピンポイントで、より短時間に治す”時代に入ってきています」
その最前線にあるのが、高精度放射線治療装置「Varian Edge(ヴァリアン・エッジ)」です。

「“がん治療のスナイパー”と呼ばれることもあるのですが、それは“狙った場所に、必要な分だけ当てる”という精度の高さにあります」

では、具体的にどのような点が優れているのでしょうか。

従来の装置との比較

「従来の装置と比べると、精度・スピード・安全性のすべてが進化しています。より正確に、より短時間で、より負担を少なく、という治療が可能になってきました」

ここが凄い!Edgeの4大特長

1. 「2.5mm」の繊細な絞り込み

Edgeには“マルチリーフコリメータ(MLC)”という機構が搭載されています。
これは放射線の形をコントロールするための装置で、羽根の厚さがわずか2.5mmと非常に薄いのが特徴です。

この羽根が細かく動くことで、がんの形に合わせて放射線を当てることができます。
脳や肺など、重要な臓器に近い部位でも、できるだけ影響を抑えた照射が可能になります。

2. 「10ミリ秒」の鉄壁の守り

治療中は、約10ミリ秒(0.01秒)ごとに精度チェックが行われています。人間では気づけないようなわずかなズレも装置が検知して、常に狙い通りの位置に当たっているかを確認しています。
この“見逃さない仕組み”が、安全性の高さにつながっています。

3. 「6軸の足」が照射位置を極める

Edgeは“画像誘導放射線治療(IGRT)”という技術を使って、がんや臓器の位置を正確に把握します。
さらに、治療寝台が前後・左右・上下に加えて、回転や傾き(ピッチ・ロール)まで含めた“6軸”で動くことで、ミリ単位で位置調整が可能になります。
これによって、より精密な照射が実現できます

4. 「画質の向上」が標的を精確に捉える

CBCT(コーンビームCT)も進化していて、HyperSightという機能によって画質が大きく向上しています。
撮影時間は短縮されながらも、より鮮明な画像が得られるようになり、位置合わせの精度が高まりました。
さらに、診断用CTと同等レベルのHU値(組織の密度を表す数値)の精度が出せるようになり、画像を使った線量計算も可能になっています

どんな治療に向いているのか

「Edgeは特に“ピンポイント照射”が求められるケースで力を発揮します。
照射自体は全身に対応していますが、頭頚部の治療で使われることが多いですね」

VMAT(強度変調回転放射線治療)
「頭頚部では、脳や目などへの影響をできるだけ抑えながら、腫瘍にしっかり線量を届けることができます。胸部では、肺や脊椎など臓器ごとの特性を考慮しながら照射を行います」

SRT(定位放射線治療)
「腫瘍に高い線量を集中させる治療で、局所制御率が高いのが特徴です。
その分、正常組織への影響を抑えるために、より高精度な位置合わせが重要になります」

私たちの誇り「Edge」

「Edgeは放射線治療装置(リニアック)の中でもフラッグシップといえる存在で、日本でも導入はまだ限られています。動物病院での導入は、当院のみになります。
患者さんにとって負担の少ない、そしてより精度の高い医療を提供するために、スタッフ全員で取り組んでいます」

放射線治療は、動物医療の中ではまだ一般的とは言えない分野です。
「だからこそ、実際に見ていただくことで理解が深まることも多いと思います」と渡邊さん。

ご興味のある方は、ぜひ見学にもお越しください。
※安全管理のため、放射線治療室(リニアック室)への立ち入りは必ずスタッフの指示に従ってください。

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